YELL BANK(エールバンク)とは?メリット・デメリットを分かりやすく解説

YELL BANK(以下、「エールバンク」)というサービスを知っていますか?ネットショップ作成サービスの「BASE(ベイス)」社が運営しており、ショップの資金繰りを支援するサービスです。

エールバンクを利用すれば、借入が難しい中小のネット通販事業者でも、好条件での資金調達が可能になります。今回はエールバンクの中身や、メリット・デメリットについて解説します。


YELL BANK(エールバンク)のキホンを解説

YELL BANKとは?

YELL BANKとは?

エールバンクとは、ネットショップ作成サービスのBASEに出店している、ショップオーナーを対象にした「融資サービス」で、2018年12月にスタートしました。

BASEでの店舗データからショップ(お店)の将来売上を予測して、それに見合った額の資金をショップオーナーは調達できます。

<外部の関連サイト>:YELL BANK | 資金調達をリスクなく


ショップの将来売上を元に「譲渡対価」(=資金調達の可能額)融資枠が設定され、オーナーはその金額分をこからいつでも資金を引き出せます。

エールバンク側がショップオーナーから将来買い取る予定の売掛債権の一部(=「譲渡対象債権」)が、そのまま返済原資となります。

エールバンクは「融資」に近いサービスですが、形式上は債権の買い取りとなっており、貸金業者による融資ではありません。

<関連記事>:ビジネスローンとは?借り入れで悩んでる中小企業は必見!

これ以降の説明では便宜上、融資という言葉を使用しますが、ファクタリングと融資を組み合わせた違うサービスです

YELL BANKでの資金調達の流れは?

YELL BANKでの資金調達の流れは?

まずはエールバンク側がBASEの店舗データをもとに、ショップの将来売上を予測します。将来予想される売上を根拠に、ショップが融資を受けられる譲渡対価(融資可能額)が算定されます。

これを基にBASEショップの管理画面上で、利用対象ショップに対して複数のプランが表示されます。プランの中身は、譲渡対価・「支払率」・「支払総額」で構成されています。

オーナーは「将来発生する債権を売却」することを条件に、自分が選んだプラン(譲渡対価)を設定してもらいます。この譲渡対価の範囲内で、好きな金額をショップの売上残高に振り込んでもらえ、好きなタイミングで引き出せます。

この譲渡対価が(最大限)借入できる金額なのに対して、支払総額は(最大限)返済が必要な額になります。たとえば「譲渡対価が450万円、支払総額が500万円」と提示を受けたとします。

これは「450万円の借入が最大でも可能だが、その場合は500万円の返済が必要になる」という意味です。この内、支払総額500万円と譲渡対価450万円の差額分(50万円)が、エールバンクの利用料になります。

利用料は、以下の式で算出されます。

利用料 = 1 – (譲渡対価 / 支払総額)


上の例なら、利用料は10%となります。利用料は1~15%の間で設定され、譲渡対価・支払率に連動する形で決まります(一度決まると固定)。

YELL BANKへの返済の流れは?

YELL BANKへの返済の流れは?

商品が売れると、ショップは支払率に応じて、売上の一部を返済金としてエールバンクに支払います。支払率は1%から100%の間で、最初に提示されます。

そして売上から返済金、BASE決済手数料、BASEサービス利用料を除いた残りの金額が、ショップの口座に振り込まれます。支払総額は500万円、譲渡対価は450万円、支払率は10%として450万円を全額借りたとします。

このケースで、売上・返済・入金がどうなるか見てみましょう。仮にこのショップが、借入した翌月に50件の注文で100万円の売上があり、全額入金されたとします(=顧客の不払いなし)。

すると計算式は以下のようになります。

    売上100万円 × 支払率10% = 10万円(返済金額)

    売上100万円 × 3.6% + 40円 × 50 = 3.8万円(BASE決済手数料)

    売上100万円 × 3% = 3万円(BASEサービス利用料)

    支払総額500万円 – 10万円(返済金額) = 490万円(支払総額の残り)

    売上100万円 – 10万円 – 3.8万円 – 3万円 = 83.2万円(入金)


支払総額が500万円ですから、これで残りの返済金額は490万円となりました。100万円のうち10万円は返済に回り、さらにBASE決済手数料・サービス利用料が引かれ、入金されるのは83.2万円となります。

このようにエールバンクへの返済は、ショップの売上からねん出されます。ではショップの売上がない時は、どうなるのでしょうか?

この場合、返済原資となる売上がないので、返済も発生しません。「売上がなかった(=返済がなかった)ので、その分を自腹で支払って」といった請求を即時に受けることもありません。

ただし遅延損害金は発生します。この点は、後ほど詳しく説明します。

<関連記事>:借金返済ができない場合、どこに相談すれば良い?

YELL BANKの利用条件は?

以下の表は、エールバンクの利用条件をまとめたものです。

利用資格 サービス案内が届いたショップ
融資額 1万円~1000万円
支払率 1~100%
サービス利用料 1~15%
初期・月額費用 なし
必要書類 なし
資金用途 事業資金

先ほど説明した通り、サービス利用料は、譲渡対価と支払率に応じて1~15%の間で変動します。また事業資金とあるように、エールバンクの資金用途は自由度が高いです。

具体的には、以下のような費用に充てられることが多いです。

  • 広告出稿のための費用
  • 新機材導入の費用
  • 新商品開発の費用

エールバンクの活用によって、ショップの資金繰りの改善に期待できます。

<関連記事>:資産の流動化(証券化)とは?分かりやすく解説!

ある意味、ファクタリングに似たサービスと言えます。ファクタリングとの違いは後ほど説明します



YELL BANKを利用するメリットは?

YELL BANKを利用するメリットは?

資金調達の手段が多様化する

ネットショップのショップオーナーは、個人事業主でも中小企業でも、金融機関から満足に融資を受けれないという問題を抱えています。たとえ売上の実績があっても、事業の安定がない等の理由で審査に通らない場合が多いのです。

カードローンやビジネスローンを利用すれば借入はできますが、金利は15%~18%と相当高く、法人向けの銀行融資に較べて極めて不利な条件です。

<関連記事>:カードローンとは?わかりやすく解説!


ですがエールバンクを利用すれば、将来売上さえ見込めれば、好条件で融資を受けることが可能になります。資金調達の手段が多様化することは、ネットのショップオーナーにとって大きなメリットです。

カードローン・ビジネスローンは金利が高いため、利用するにしても短期間に留めたいところです

審査に必要な書類の準備がない

通常の借入申込なら、申し込みのための入力手続きに相当な時間が掛かります。さらに審査に必要な書類の準備も、それなりに大変です。

カードローンであれば運転免許書だけで済みますが、ビジネスローンなら確定申告書や決算書の提出が必要になります。さらに金融機関から融資を受けようと思ったら、より多くの書類提出が求められます。

ですがエールバンクなら、先方が勝手に審査を行ってくれるので、自分で用意すべき書類は一切ありません。先方から複数プランの提示を受けて、嫌なら利用しなければいい話です。

こうした気軽に利用できる点が、エールバンクの魅力の一つと言えるでしょう。

資金調達のスピードが早い

エールバンクは将来債権を売却する形にして、先に融資を受けれるサービスです。条件を満たしてさえいれば、すぐにエールバンクを利用でき、資金調達が出来ます。

通常なら商品代金の仕入れにお金が掛かり、それが売れるのを待ち、売上金が手元に入るまでにはさらに時間を要します。たとえ商売が順調で売上が右肩上がりだったとしても、売上が拡大するほど資金繰りは苦しくなります。

ですがエールバンクを使えば、こうした資金繰りの悩みから解放されます。場合によっては、商品販売と並行して新商品を開発する余裕も出てきます。

<関連記事>:即日融資ランキングを元銀行員が解説!

日本政策金融公庫なら低金利での借入が可能ですが、審査に時間が掛かるため、急ぎで資金が必要には向いてません



YELL BANKを利用する際の注意点は?

エールバンクの特徴や、メリットについて紹介しました。ここまで読めばエールバンクが便利なサービスという印象を持った方が多いと思います。

とはいえ、どんなサービスにもメリット・デメリットはあります。以下では、エールバンクを利用する上での注意点を紹介します。

サービスの案内が来たショップのみ利用可能

YELL BANKを利用するデメリットは?

エールバンクはショップオーナーにとって、非常に役立つ融資サービスです。ですが全てのショップが対象ではなく、サービスの案内が来たショップのみ利用可能です。

店舗データを活用した与信審査がBASEで行われ、条件を満たしていれば、BASEの管理画面に資金調達のフォームが表示されます

この表示が出たショップのみ、エールバンクの利用が許されます

具体的な基準は明示されていませんが、BASEは対象店舗を順次増やしていくと発表しています。エールバンクに選ばれるには、過去の売上規模や伸びが相当重要かと考えられます。

また過去に運営会社(BASE)と揉め事を起こしているオーナーは、エールバンクの対象になりづらいことも予想されます。繰り返しになりますが、エールバンクそのものはショップオーナーにとって便利なサービスです。

ですがBASEというプラットフォーマーが提供するサービスだけに、対象の選別に恣意的な判断が入る余地は、相応にあると考えるべきかもしれません。

<関連記事>:カードローンの審査の流れと審査基準

楽天にしろアマゾンにしろ、プラットフォーム上で商売をするのは便利な側面がある一方、運営会社のいいなりになる側面はあります

返済不能時のリスクがある

エールバンクの公式HPに、「リスクなしで」とか「将来債権が発生しないリスクはBASE社が負担する」といた文言が並びます。こうした説明を見ると、仮にショップが返済不能に陥っても、BASE社が負担してくれるように読み取れます。

ですがエールバンクの利用規約を読むと、サービス内容の実態がかなり違うことに気づきます

<外部の関連サイト>:YELL BANKの利用規約 | BASE


まず「商品が売れない場合は、支払が発生しない」と公式HPにありますが、きっちり「遅延損害金」(年率14.6%)は発生します。遅延損害金とは返済が遅れた場合の罰則のようなもので、返済が遅れた日数分だけ指定の金利分の利息を取られることになります。

<関連記事>:遅延損害金とは?分かりやすく解説!


また万が一、返済不能になった場合の負担は、ショップオーナーが全額負担することになります。たとえば450万円借りて(支払総額は500万円)200万円は返済したものの、ショップの運営が行き詰まり、廃業したとします。

この場合は、残りの300万円の返済義務は、ショップオーナーが引き続き背負うことになります。エールバンクの公式HPでは、やたらと「リスクなし」が強調されていますが、あまり文字通りの意味に取らない方がよいでしょう。

<関連記事>:ファクタリングで返済できない場合、どうすれば良い?

上では取り上げませんでしたが、売却した売掛金でキチンと入金されない場合は返済と見なされません。売却した売掛金の回収が前提となっています

資金調達後の金額変更は不可

一般的なカードローンでの借入では、利用枠を増額できたり、それに伴って金利条件が変わったりする可能性があります。ですがエールバンクでは、資金調達後の金額変更はできません。

将来債権の金額(融資額)の返済が完了するまで、融資枠や支払率などの条件が変わることはありません。

ファクタリングとの違いは?

ここまで見てきた通り、エールバンクは事業者が売掛金を買い取ってもらうことで、早期に資金を得るサービスです。これとよく似た仕組みを持つサービスに、「ファクタリング」があります。

ファクタリングとは、売掛金を専門業者に買い取ってもらうサービスです。実際エールバンクの利用規約でも、「ファクタリングプラン」という言葉が使用されており、性質が近いサービスと言えましょう。

ただしファクタリングとエールバンクでは、何点か異なる点があります。

1点目は、売掛金の性質です。ファクタリングは売上(=入金)が確定している売掛金の買取であるのに対して、エールバンクは将来的な売掛金を裏付けにしています。

2点目は、対象となる事業者です。ファクタリングは一般的な事業者なら誰でも使えるのに対して、エールバンクはBASEを利用しているショップオーナーに限定されます。

3点目は、取引相手です。ファクタリングは取引先がヤミ金業者である可能性もありますが、エールバンクは上場企業のBASEなので安心して取引できます。

4点目は返済義務です。ファクタリングは債権売却の取引のため、返済義務は原則ありません。仮に売掛金の取引先が破たんしても、その損失はファクタリング会社が負担することになります。

一方のエールバンクは、融資としての性質を併せ持ちます。売掛金の顧客が返済できない場合、その負担はショップオーナーが負うことになります

またショップが破たんした場合でも、ショップオーナーは引き続き返済義務を負うことになる点は説明した通りです。

<関連記事>:ファクタリングとは?分かりやすく解説します

一方でファクタリングと違って、面倒な書類手続きがないのはエールバンクの利点です


ここまでエールバンクの中身や、メリット・デメリットについて見てきました。エールバンクを活用すれば、中小企業や個人事業主のショップオーナーは、金融機関・貸金業者を利用することなく資金繰りを改善できます。

一方で「リスクなし」を盛んにアピールしてますが、返済不能時に相応のリスクを背負うことになります。手数料もビジネスローンなどに較べて高いとは言えませんが、格安とまでは言えません。

利用にあたっては慎重に検討を重ね、リスクを上回るリターンが見込めそうな場合に利用するとよいでしょう。

この記事のまとめ
  • YELL BANKは将来債権の売却という形で、譲渡対価を設定する融資に近いサービス
  • 対象店舗は、管理画面上で複数のプランが提示される
  • 面倒な書類手続きがなく、対象店舗はすぐに借入できる
  • 売上に応じて返済が発生し、売上がない場合は返済もないが遅延損害金は発生する
  • 返済不能となった場合、残額についてショップオーナーに返済義務あり


もぐお

この記事の執筆者: もぐお

元銀行員で、このサイトの責任者です。難しい金融の情報を分かりやすくお伝えできるよう、頑張ります!
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