【図解で分かる】コミットメントラインとは?分かりやすく解説

ニュースや新聞などで「コミットメントライン」という言葉を、見かけた人も多いかと思います。

コミットメントラインは法人融資の一種で、設定された範囲内なら自由に借入できる融資枠のことです。


新型コロナ肺炎の流行時にも、資金調達のために多くの大企業が活用しました。

ここではコミットメントラインの基本や、メリット・注意点について解説します。


コミットメントラインのキホンを解説

コミットメントラインとは?

コミットメントラインとは

「コミットメントライン」とは、銀行と予め契約した範囲内で企業が自由に借入できる、法人融資の融資枠です。

銀行が所定の審査を行い、企業の財務・決算状況に応じて融資枠を決定して契約を結びます。


企業は融資枠の範囲内で好きなタイミングで借入・返済ができ、銀行は原則として融資を断ることができません。

ただし企業は利息とは別に、手数料の支払いが必要になります。


コミットメントラインは、「特別融資枠契約」とも呼ばれます。

大手銀行がコミットメントライン契約を結ぶ際、法律的には「特別融資枠契約に関する法律」に依拠する場合が多いです。


後ほど説明しますが、この法律で想定している企業は大企業です。

コミットメントラインの対象企業は?

大手銀行がコミットメントラインの対象企業としているのは、「特別融資枠契約に関する法律」に該当する企業です。

この法律では、たとえば以下の条件のどれかに当てはまる企業を対象としています。
 

  • 会社法上の大会社
  • 資本金3億超の株式会社
  • 純資産額10億円超の株式会社
  • 金融商品取引法の規定による監査証明を受ける必要のある株式会社


特別融資枠契約に関する法律第二条
第二条 この法律において「特定融資枠契約」とは、(以下省略)、意思表示により借主となる当事者の一方が契約を締結する時に次に掲げる者であるものをいう 。
一 会社法(平成十七年法律第八十六号)第二条第六号に規定する大会社
二 資本金の額が三億円を超える株式会社(前号に掲げる者を除く。)


このような条件が定められているため、コミットメントラインを利用できるのは、基本的に大企業に限定されます。

この法律では、中小企業を対象としていません。


これには後ほど説明する、コミットメントラインの手数料規定が関係しています。

コミットメントラインの種類は?

コミットメントラインは以下の3種類があります。

  • リボルビングライン: いつでも引き出し可能
  • スタンドバイライン: 非常時以外は資金の引き出しをしない
  • エクイティ・コミットメントライン: 新株予約権を発行して資金調達


最もよく使われるのが、リボルビングラインです。

コミットメントラインというと、これを指すことも多いです。

契約時に設定した融資枠の範囲内であれば、いつでも自由に借入可能です。


同様にスタンドバイラインも、あらかじめ融資枠を設定しますが、原則として非常時以外では資金の引き出しを行いません。

不測の事態に対する「備え」の意味合いが強く、リボルビングラインに較べて使い勝手が良くありません。


一方のエクイティ・コミットメントラインでは、金融機関から直接資金を借入することはありません。

企業が金融機関に対して、「新株予約権」を発行することによって、コミットメントライン契約を結びます。


新株予約権とは、発行した株式会社に対して権利を行使することで、株式の交付を受けられる権利です。

新株予約権を用いて資金調達ができるので、通常のコミットメントラインよりも活用の幅が広いです。


こうしたことからエクイティ・コミットメントラインは、一般的なコミットメントラインの進化系と呼ばれていますが、普及度という点ではイマイチです。

<関連記事>:極度借入額とは?利用限度額との違いを解説

コミットメントラインの契約方法は?

コミットメントラインの契約方法は、以下の2形態です。

・バイラテラル方式(相対型)
・シンジゲート方式(協調型)



バイラテラル方式は、企業と銀行が相対して契約する形態です。

第三者を立てずに、各銀行と1対1で契約します。


シンジゲート方式は、複数の銀行が協調し、同一条件で融資をする形態です。

アレンジャーと呼ばれる銀行が幹事役を務め、借り手企業と複数の銀行(シンジケート団)との間で契約をまとめます。


この方式では、1行あたりの融資負担が少なくなるので、融資枠が比較的高額になることが多いです。

<関連記事>:シンジケートローンとは?分かりやすく解説

契約はアレンジャーが取りまとめ、融資実行後の元利金の受け渡しはエージェントが務めます



コミットメントラインを借入企業が利用するメリットは?

コミットメントラインを借入企業が利用するメリット

緊急時の資金調達が可能

企業にとってコミットメントラインの最大のメリットは、緊急時の資金調達が可能になることです。

新型肺炎の流行時にも、多くの大企業がコミットメントラインを活用しました。


例えばトヨタは約1兆円(2020年3月)、リクルートは約4500億円(同年4月)もの融資枠を要請しました。

<外部の関連サイト>:トヨタ、1兆円の融資枠要請|日本経済新聞


融資枠の範囲内であれば、必要なタイミングで必要分だけ借入できます

そのためコミットメントラインは、緊急時の予防的措置として最適です。

リボルビングラインなら緊急時でなくても利用できるので、資金繰り対策がより万全となります

対外的なアピールになる

コミットメントラインを利用していることは、対外的なアピールにもなります。

融資枠を確保しているので、現金が不足して資金繰りが悪化しても、すぐに資金調達できる状態にあるということです。


株主や銀行、取引先にとって何より恐ろしいのは、企業の経営破たんです。

ですが融資枠が確保できていれば、資金繰りの悪化による経営破たんの可能性が低いと判断できます。


コミットメインラインを確保していることをプレスリリースすることで、資金繰りの問題がないことを株主や投資家にアピールでき、大きな安心材料になります。

(場合によっては)財務体質を悪化させずに済む

コミットメントラインはあくまでも融資枠なので、資金需要がなければ借入しなくても問題ありません。

通常融資よりも圧倒的に自由度が高く、一括で借入する必要がないので財務体質を悪化させずに済みます。


コミットメントラインは、「保険」の意味合いが強い融資形態と言えます。

<関連記事>:ファクタリングとは?分かりやすく解説します

必ずしも資金繰りが悪化してるわけではなく、「念のため」に活用している企業が多いです



コミットメントラインを利用する借入企業の注意点は?

手数料が発生する

コミットメントラインのデメリット・手数料が発生する

コミットメントラインでは利息とは別に、コミットメントフィーと呼ばれる手数料が契約時に発生します。

手数料は、以下の計算式で算出されます。


コミットメントフィー = 融資枠未利用金額× 該当期間 / 365 × 手数料の料率(年率)


この手数料の計算は(通常は)3か月ごとに行い、企業は利息とは別に手数料を支払います。


例えば、以下のようなコミットメントラインを設定するケースで考えてみます。

融資枠:100億円
借入の金利(年利):3.0%
コミットメインラインフィー(手数料): 1.0%



ここで契約時に契約時に1億円だけ借入した場合、最初の3か月の利息と手数料は以下のように算出されます。

3か月分の利息 = 1億円 × 1/4 × 3% = 75万円
3か月分の手数料 = 99億円 × 1/4 × 1% = 2,475万円

(注:計算を簡単にするため3か月分を1/4としましたが、実際には 該当期間の日数/365 の計算式を使います )


ここで注意してほしいのは、1億円分の利息のほかに、利用してない融資枠に対して手数料が発生している点です。

コミットメントラインは緊急時に利用できる融資枠として、企業として貴重な存在ではあります。


その一方で使う見込みの少ないコミットメントラインを設定すると、ムダに手数料を支払わされることになります。

<関連記事>:永久劣後ローンとは?わかりやすく解説

大企業しか利用できない

コミットメントラインのデメリット・大企業しか利用できない

コミットメントラインは手数料が発生しますが、これは実質的な利息(みなし利息)です。

このため手数料と通常の利息を合わせると、利息制限法や出資法の上限金利を上回ってしまう場合もあります。

先ほどの例を、もう一度見てみましょう。

最初の3か月の利息 = 1億円(実際の借入) × 1/4 × 3% = 75万円
最初の3か月の手数料 = 2,475万円
最初の3か月の実質金利(年率) = (75万 + 2,475万) × 4 / 1億円 =
102%


利息制限法も出資法も上限が年率20%なので、これを大幅に上回る金利設定となります。

ですが、このように利息制限法・出資法を厳格に適用すると、コミットメントラインの設定が難しくなり、企業の円滑な資金調達を妨げることにもなります。


このため特定融資枠契約3条により、コミットメントラインの手数料が利息制限法・出資法の適用除外とされています。

ただしこの法律の対象が大企業のみとしている通り、適用除外の規定を受けるのも大企業のみです。


一方で中小企業がコミットメントラインを利用することは、原則として可能です。

ただ中小企業だと上の除外規定が適用されないため、銀行も中小企業へのコミットメントラインの設定には後ろ向きです。


加えて中小企業の側でも、手数料が発生しない当座貸越契約で融資枠を確保する手法が好まれます。

このためコミットメントラインは、利用が大企業に限定されているのが実情です。

<関連記事>:利息制限法とは?上限金利など分かりやすく解説

ちなみに銀行員は行内ではコミットメントラインを「コミライン」と略称します

審査が厳しい

上で見たように、大企業であればコミットメントラインを利用しやすいですが、通常融資よりも審査が厳しい場合もあります。

特にシンジゲート方式(=シンジケートローン)の場合、複数の銀行を納得させる同一条件が必要なので、より一層厳しくなります。


たとえ審査に通過しても、融資枠が希望額よりも少なくなってしまい、企業が不満を感じるケースもあります。

また資金の使用用途についても、厳しくチェックされます。


コミットメントラインは短期運転資金など、緊急時の資金調達のための融資なので、投資などの長期資金を充てることはできません。

コベナンツに違反するとペナルティが大きい

企業が新規で銀行と融資契約を結ぶ際には、事前に銀行取引約定書を取り交わします。

ですが特にシンジゲート方式の場合、それぞれの銀行と銀行取引約定書を締結するのは現実的ではありません。


その一方で銀行取引約定書には「期限の利益の喪失条項」が明記されており、これなしで融資を行うのは銀行にとってリスクが大きいです。


こうした銀行取引約定書の役割を補完するために用いられるのが、「コベナンツ」です。

「コベナンツ」とは、社債や融資などで法人が資金調達をする際に、契約書に記載される債務者側(企業)の義務や制限などの特約条項のことです。


シンジケートローンでコミットメントラインを設定する際には、(ほぼ必ず)契約にコベナンツが盛り込まれます。

もしもコベナンツで定められている義務や制限を企業が守らなかった場合、期限の利益を喪失したとみなされ、銀行団から資金の一括返済を求めらる場合もあります。


返済の延期を認められないこともあるので、事業運営に支障をきたす可能性があります。

<関連記事>:コベナンツ(条項付融資)とは?分かりやすく解説!

コベナンツ違反でいきなり全額返済を求められる可能性は低いですが、より厳しい条件を銀行から突き付けられます


ここまでコミットメントラインの基本や、メリット・注意点について見てきました。

融資枠の範囲内であれば必要に応じて借入できるので、緊急時の資金調達に非常に役立つ融資です。


ぜひ注意点に留意しながら、有効活用しましょう。


この記事のまとめ
  • コミットメントラインとは、企業が自由に借入できる融資枠のことで手数料が別に発生する
  • 契約方式は相対式と、複数の銀行が協調するシンジケート方式の2種類
  • 好きなタイミングで借入できるので、財務体質を悪化させずに緊急時の資金繰りに対応できる
  • 利息とは別に、利用しない融資枠に対して手数料が発生する
  • コミットメントラインの利用企業は、大企業に限定されている


もぐお

この記事の執筆者: もぐお

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