シンジケートローンとは?分かりやすく解説

ニュース・新聞などで「シンジケートローン」という言葉を、見た人もいるかと思います。

シンジケートローンとは、一言でいうと法人融資の一種で、複数の銀行が共同で行う融資です。


通常の融資にはないメリットも多く、活用次第では企業のビジネスを支える大きな力になります。

今回はシンジケートローンの基本や、メリット・デメリットなどを解説します。


シンジケートローンとは?キホンを解説

シンジケートローンとは?

シンジケートローンとは

「シンジケートローン」とは、複数の銀行が連携し、1つの契約に基づいて同一条件で行われる法人融資の一種です。

複数の銀行からの融資ですが、契約書は共通なので金利などの条件は銀行間で全て同じです。


シンジケートローンの主な構成員は、借入企業に加えて「シンジケート団」・「アレンジャー」・「エージェント」となります。

シンジケートローンを実行する複数の銀行は、「シンジケート団」と呼ばれます。


シンジケート団のうちの1行は「アレンジャー」と呼ばれ、借り手企業とシンジケート団の間で契約の仲介を担います。

融資実行後に、元利金の受け渡しなどの決算業務を行うのは、「エージェント」です。


アレンジャーとエージェントは別の銀行が務めることもありますが、一般的には同じ銀行が務める場合が多いです。

<関連記事>:ビジネスローンとは?借入で悩んでる中小企業は必見!

銀行内ではシンジケートローンを、「シローン」と省略して呼ぶことが多いです

融資実行までの流れは?

シンジケートローンを融資実行するまでの流れは、以下の通りです。

シンジケートローンの融資実行の流れ
  • 借入企業がアレンジャーを指名
  • アレンジャーが各銀行にヒアリング・参加打診
  • シンジケート団の組成
  • 契約書の作成・調印・申込
  • 融資実行


シンジケートローンで借入するために、借り手企業がアレンジャーとなる銀行を指名します。

依頼を受けたアレンジャーが幹事役となって、各銀行にシンジケートローンへの参加を打診します。


この際、各銀行が参加するにあたっての条件(貸出希望金額・希望金利)など、ヒアリングします。

各銀行へのヒアリング結果を基に、シンジケート団が組成され参加銀行が確定します。


アレンジャーと借り手企業との間では、各銀行からのヒアリング結果を基にした融資条件(金額・金利・期間・コベナンツ)の交渉が行われます。

融資条件が両者で折り合ったところで、融資契約の手続きが行われます。


金銭消費貸借契約書の作成や申込が完了すると、ようやく融資が始まります。

シンジケート団を構成する銀行が、専用の決算口座に個別に振り込みます。


借り手企業からの元利金の支払いは、全てエージェントが受け持ちます。


借り手企業からエージェントが引落し、シンジケート団を構成している各銀行に振り込むといった流れです。

<関連記事>:コベナンツ(条項付融資)とは?分かりやすく解説!

借り手企業がやり取りするのはアレンジャーとエージェントだけなので、シンジケート団との直接の交渉はありません

シンジケートローンの形態は?

シンジケートローンの形態は、以下の3種類があります。

  • コミットメントライン
  • タームローン
  • コミット型タームローン


<コミットメントライン>
あらかじめ期間(通常1年間)と融資限度額を設定し、その融資枠内であれば自由に借入できる、「極度借入」の形態です。

借り手にとって自由度が高い借入契約で、短期的な運転資金や、緊急時の資金枠に適しています。

<関連記事>:極度借入額とは?利用限度額との違いを解説


<タームローン>
タームローンは、長期借入の際に用いられる「証書貸付」の形態です。

契約時に一括して借入をして、分割ないし一括返済をします。


極度借入と異なり、一度返済した金額は借入できません。

長期的な運転資金や、設備資金に用いられるケースが多いです。

<関連記事>:証書貸付とは?カードローンとは何が違うの?


<コミット型タームローン>
名前の通り、コミットメントラインとタームローンの特徴を合わせた形態です。

まずはコミットメントラインのように一定期間の融資枠を設定し、期間が経過した後はタームローンに切り替わります。


資金調達の時期が定まっていない、長期的な運転資金などに使われることが多いです。

シンジケートローンの利用実績は?

近年、シンジケートローンの利用実績は伸び続けています。

以下は国内シンジケートローンの組成額と、組成件数の推移です。


国内シンジケートローンの組成額と組成件数の推移
(注:年度は会計年度を指します。2019年度なら、2019年4月から2020年3月を指します)

<出典>:貸出債権市場取引動向|全国銀行協会


上の図から分かる通り、国内シンジケートローンは組成額・組成件数ともに、おおむね右肩上がりです。

組成額は2013年度に30兆円に達し、一旦落ちたものの(図にはありませんが)2016年度と2019年度で30兆円を回復しています。


シンジケートローンの組成件数はリーマンショックで一旦落ちたものの、ここ数年は高水準で推移しています。

今やシンジケートローンは、企業にとって重要な資金調達の手段になっています。

2020年は新型コロナの影響で、シンジケートローンの組成額がさらに大幅に伸びると予想されます



シンジケートローンの借主・貸主のメリットは?

借主のメリット1. 高額借入が可能

シンジケートローンの借主メリット

借主にとってシンジケートローンの大きなメリットは、高額借入が可能になることです。

どれだけ大企業であっても、大型投資や経営環境の悪化により、多額の資金(ないし資金枠)を確保したい場合はあります。


ですが特定の企業への高額な融資は、たとえ親密先の企業であっても銀行としては慎重になります。

一方で、そうした高額融資もシンジケートローンを組成することで、1行あたりの融資負担が減ります。


そのため銀行1行からでは断られるような高額融資も、シンジケートローンなら銀行としても検討しやすくなり、企業が資金調達できる可能性が高まります。

リクルートは新型コロナ肺炎による資金繰りの悪化に備えるため、3メガバンクに対して総額4500億円の融資枠を要望しました

借主のメリット2. 金利を一本化・事務負担の軽減

複数の銀行からバラバラに融資を受けている場合、各銀行への融資事務が発生して企業にとっても相応の負担となります。

ですがシンジケートローンを活用すれば取引先を一本化できるため、企業の事務負担が大幅に軽減します。


またシンジケートローンが通常融資と大きく異なるのは、複数の銀行と同一条件でやり取りする点です。

これにより金利を一本化できるので、会計処理の事務負担も激減します。


シンジケートローンでは複数の銀行と直接やり取りするわけではなく、実際に取引をするのはアレンジャーとエージェントだけです。

アレンジャーとエージェントは同じ銀行が務める場合がほとんどなので、借入企業としては実質的に1行だけとのやり取りで完結します。

貸主(銀行)のメリット1. リスクを分散して貸出ができる

「貸出」は銀行の3大業務の1つですが、余りにも高額な融資は貸し倒れリスクが大きいため、敬遠することも多いです。

一方で(先ほども説明した通り)、複数の銀行が共同で融資するシンジケートローンならば、たとえ高額融資でも1行あたりの融資額は少なくなります。


仮に10億円の融資が焦げ付いたとしてもメガバンク程度の規模なら大きな問題になりませんが、100億円超の融資が返済不能になったら、たとえメガバンクでも経営への影響が大きいです。


リスクを他行と分散できるので、銀行にとって貸出のハードルが低くなるというメリットがあります。

その分、利息収入をより多く得られるメリットを捨てることになるので、一概にメリットとも言い切れません

貸主のメリット2. 取引のなかった大企業へ貸出できる

シンジケートローンの銀行のメリット:取引のなかった大企業へ貸出できる

シンジケートローンを活用するのは、大型投資や資金繰りを確保するために、まとまった金額の資金調達を希望する大企業が多いです。

こうした大企業に融資できるのはメガバンクと一部の地銀だけで、それ以外の地銀は(どれだけ融資を希望しても)門前払いを喰らいます。


ですがシンジケートローンなら、話は別です。

シンジケートローンに参加できれば、普段は取引機会のない地方銀行でさえ、大企業に対して貸出の機会を得られます。


他行との協調融資となるため一行当たりの貸出金額は多くありませんが、大企業は倒産リスクが非常に低いのが一般的です。

信用力の高い大企業なら融資審査も簡単なものになり、(直接取引のない)銀行にとって相当なメリットがあると言えます。

<関連記事>:信用金庫・信用組合とは?わかりやすく解説

貸主のメリット3. 手数料を得られる(アレンジャーのみ)

銀行融資による収益というと、利息収入のみを連想する人が多いはずです。

ですがシンジケートローンでは利息収入とは別に、手数料を得ることが出来ます。


ただし、この手数料(アレンジフィー)を得られるのは、アレンジャーを務める銀行のみです。

特にコミットメントラインで貸出の実行がなかった場合、アレンジャーは貸出なしに契約の取りまとめだけで収益を得ることになります。


貸し倒れリスクを負わずに手数料収入を得られるので、銀行にとって非常に美味しい商売だと言えます。

後ほど説明しますが、手数料はエージェントにまつわるも分も発生します



シンジケートローンを利用する際の借主のデメリットは?

シンジケートローンを利用する際の借主のデメリットは?

1. 融資実行までに時間がかかる

シンジケートローンは複数の銀行が、同一条件で融資を行います。

融資をする全ての銀行が契約内容に納得する必要があるので、通常融資よりも調整・交渉に時間がかかってしまいます


急を要する資金需要には不向きなので、活用する際には注意してください。

<関連記事>:ファクタリングとは?分かりやすく解説

ただし昨今は「金余り」の状況なので、事業基盤が強固な大企業ならば銀行に対して有利に交渉を進められ、迅速に融資実行される場合もあります

2. 手数料が発生する

上で見たように、企業はアレンジャーに対して手数料(アレンジフィー)を支払う必要があります。

同様にエージェントに対しても、エージェント業務の対価として手数料が発生します。


さらに契約内容を変更する際なども、別途手数料が発生します。

元利金以外の費用がかかることは、借主にとって痛いデメリットです。

3. 違反時のペナルティが厳しい

多くの場合シンジケートローンでは、普段取引のない銀行とも取引をします。

企業が新規で銀行から融資を受ける際には、事前に銀行取引約定書で契約を結びます。


ですがシンジケートローンに参加する新規の銀行が多い場合、それぞれの銀行と銀行取引約定書を締結するのは現実的ではありません。

その一方で銀行取引約定書には「期限の利益の喪失条項」が明記されており、これなしで融資を行うのは銀行にとってリスクが大きいです。


こうした銀行取引約定書の役割を補完するために用いられるのが、「コベナンツ」です。

「コベナンツ」とは、社債や融資などで法人が資金調達をする際に、契約書に記載される債務者側(企業)の義務や制限などの特約条項のことです。


もしもコベナンツで定められている義務や制限を企業が守らなかった場合、期限の利益を喪失したとみなされ、銀行団から資金の一括返済を求められます。

返済の延期を認められないこともあるので、会社経営に大きな影響を与える可能性があります。

<関連記事>:期限の利益の喪失とは?分かりやすく解説!

コベナンツに違反したからといって、全銀行から一括返済を求められるとは限りません。アレンジャーでもある主力銀行が支えてくれる場合もありますが、限界はあります



ここまでシンジケートローンの基本や、メリット・デメリットなどを見てきました。

通常融資では難しい高額借入が可能になるなど、企業にとって大きなメリットのある融資です。


デメリットなども踏まえた上で、資金調達の手段としてぜひ検討してみてください。


この記事のまとめ
  • シンジケートローンとは複数の銀行が協調して融資する、法人融資の一種
  • シンジケート団が組成され、アレンジャー銀行を中心として契約が締結される
  • 融資実行後はエージェントが元利金の受け渡しなどを取り仕切る
  • 借主からすると高額融資が成立しやすく、金利の一本化もできる
  • 銀行からするとリスクを分散できる他、アレンジャー銀行は手数料が入る


もぐお

この記事の執筆者: もぐお

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