給与ファクタリングとは?給与前払いサービスとの違いは?そのリスクは?

「給与前払いサービス」や「給与ファクタリング」という言葉を知っていますか?どちらも給与を前もって受け取れるサービスで、利用したことがある人もいるかもしれません。

一見似ている2つのサービスですが、実は大きな違いがあります(片方は違法サービスとなりうる場合があります)。今回は、給与前払いサービスと給与ファクタリングの違いや、給与ファクタリングのリスクについて、詳しく解説します


FP 三原 由紀

この記事の監修者: FP 三原 由紀

ファイナンシャル・プランナー、保険や金融商品を売らない独立系FPとして活動中。行政でのセミナー講師、会社員世帯への家計相談、障害者の家族をサポートする相続相談などを行う。公式サイトはコチラ

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給与ファクタリングとは?分かりやすく解説

給与ファクタリングとは?

給料ファクタリングとは

「給与ファクタリング」とは、将来の給料を裏付けにして、ファクタリング業者から現金を受け取るサービスです。なお「ファクタリング」とは、中小企業などが保有している売掛債権(=商品やサービスを提供したことにより、受け取れる代金を請求できる権利)を専門の業者が買い取るサービスのことを指します。

<関連記事>:ファクタリングとは?分かりやすく解説

つまり将来得る予定の収益を、ファクタリング業者に前もって買い取ってもらい、ファクタリング業者は後日その予定収益を回収するのがファクタリングの仕組みです。

一方の給料ファクタリングでは、外見上は給料債権を買い取る形に見えますが、実際は次回の給料を裏付けにして融資を行います。。以前は実際に給与債権の買い取りでしたが、後述する通り、現在の給与ファクタリングは給与を裏付けとした融資となっています。

なお給与ファクタリングを行う業者は、「買取り」の際に手数料を受け取ることで収益を得ています。また最近では業者の他にTwitterなどのSNSを通じ、個人間で給料ファクタリングが行われているケースもあります。

<関連記事>:個人間融資とは?そのリスクを分かりやすく解説

後で詳しく説明しますが、給与ファクタリングは法外な手数料を請求されることも多く、利用にあたっては注意が必要です

給与ファクタリングは貸金業に当たる

給料ファクタリング業者は、「給与の買い取り」に当たって手数料を受け取ります。この手数料が事実上の金利に当たるため、「給料ファクタリング業者は貸金業登録が必要ではないのか」という指摘が以前からありました。

一方で給料ファクタリング業者は、自分たちのサービスは金銭の貸し借りではなく、あくまで売掛債権の売買契約なので、貸金業とは性質が異なると主張し続けていました。この議論に対して2020年3月に金融庁が、給料ファクタリングは貸金業にあたるとの見解を示しました

<外部の関連サイト>:ファクタリングに関する注意事項|金融庁

そもそも労働基準法第24条により、たとえ利用者(労働者)が給与の債権を第三者に譲渡した場合でも、使用者(勤務先)は利用者に対して給与を支払う必要があります。そのため給与債権を受け取った給与ファクタリング業者は、使用者(勤務先)に対して支払いを求めることができず、必然的に利用者に対して支払いを請求することになります。

給与ファクタリングの性質上、業者と利用者が金銭の貸し借りを行うことが必ず約束されているわけです。したがって金融庁は、給与ファクタリングが貸金業法第2条の「金銭の貸付け」に該当すると判断しました。

貸金業法第2条
この法律において「貸金業」とは、金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介(手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によつてする金銭の交付又は当該方法によつてする金銭の授受の媒介を含む。以下これらを総称して単に「貸付け」という。)で業として行うものをいう。

給与ファクタリングは貸金業に当たるため、正式にサービスを提供するには貸金業登録が必要になります。貸金業の登録を行っていない業者は、貸金業法によって罰則を受けます。

無登録で貸金業を営んでいる場合、10年以下の懲役か3000万円以下の罰金(もしくは両方)が課されます

<関連記事>:個人間融資とは?そのリスクを分かりやすく解説

給与ファクタリング関連の法規制はまだありませんが、貸金業の要件さえ満たしていれば違法ではないとの基準が、金融庁の指針により示された形となりました

貸金業における上限金利は?

貸金業では、2つの法律で決められた上限金利が存在します。一つは利息制限法、もう一つが出資法です。

利息制限法の上限金利は、元金に応じて以下のように定められています。

元金 上限金利
10万円未満 20%まで
10万円以上100万円未満 18%まで
100万円以上 15%まで

<関連記事>:利息制限法とは?上限金利など分かりやすく解説

利息制限法の上限を超えた金利は、全て無効になります。利息制限法に違反した業者は、行政処分が科されます。

出資法の上限金利は、利息制限法と同じ年率20%です。出資法に違反した業者には刑事罰が科されます。

<関連記事>:出資法とは?わかりやすく解説

給与ファクタリングの場合、「金利〇〇%」といった表記はありません。代わりに業者が提示した手数料が、実質的な金利に当たります。

利用の際は手数料を年率換算して、利息制限法・出資法に違反した金利でないか確認する必要があります。

違法な手数料を請求する給与ファクタリング業者は、ヤミ金業者と同然です

給与ファクタリング業者の逮捕例も

2020年3月に金融庁が、「給与ファクタリングは貸金業に当たる」と声明を出して以降、少しずつですが取締が強化されています。20年7月には、給与ファクタリング業者が初摘発されました。

給与ファクタリングと称して無登録で貸金業を営んでいた上、法定金利の80倍以上の金利を課していたといいます。

<外部の関連サイト>:共同通信|日本ファクタリング協会

さらに10月にも、給与ファクタリングを謳った業者が逮捕されました。違法な貸付を行う給与ファクタリング業者の取り締まりは、今後さらに徹底されていくでしょう。



給与前払いサービスとは?分かりやすく解説

給与ファクタリングと似ているサービスとして、給与前払いサービスがあります。ここでは給与ファクタリングと給与前払いサービスの違いを解説します。

給与前払いサービスって何?

給与前払いサービスとは

これから行う労働を裏付けに借入する「給料の前借り」については、労働基準法にも明記されています。労働基準法25条では、非常時(出産、結婚、病気、災害等)について給料日前でも給料を支払うように定めています。

<外部の関連サイト>:労働基準法第25条(非常時払)について | 厚生労働省

一方の「給与前払いサービス」は、借金である「給料の前借り」とは違い、既に働いた分の給料を給料日前に前払いしてもらうサービスです。企業にとっても、福利厚生の一環として前払いサービスを導入することで、求人応募数が増加したり、離職率が減るといったプラスの効果が見込めます。

企業が前払いサービスを行うには、前払いサービスを提供している業者と提携する必要があります。提携しているサービス会社によっては、Webやアプリを使って前払いの申請をすることが可能で、とても便利です。

どの給与前払いサービス業者を利用するかは、利用者自身ではなく勤務先の企業が決めます

給与前払いサービスと給与ファクタリングの違いは?

給与前払いサービスと給与ファクタリングの違い

給与前払いサービスは、企業と提携した前払いサービス業者が給与支払いを代行するので、完全に合法のサービスです。一方の給与ファクタリングは、将来手に入る給与を裏付けとして、ファクタリング業者から資金提供を受けることです。

ですが上で見たように、労働基準法第24条において、給与は労働者に直接支払うことが決められていて、債権の譲渡は認められていません。つまり給与を債権として譲渡する給与ファクタリングは、法律上は違法です。

<外部の関連サイト>:労働基準法第24条|e-Gov

こうしたことから、給与ファクタリング業者は「給与債権を買い取っている」のではなく、「給与を裏付けにして融資している」と主張しています。これなら労働基準法24条とも矛盾せず、合法なサービスと見なされます。

また万が一、給与の債権の譲渡が表に出た場合、労働基準法に給与ファクタリング業者への罰則規定はなく、代わりに罰則を受けるのは勤務先の企業です。ですが「契約書類がない」「手数料が大幅に追加された」といった取引をした場合は、特定商取引法に基づいて、給与ファクタリング業者に罰則が科されます。

それにもかかわらず契約書類なしで取引している、違法な業者も多いので要注意です。以下の表で、給与前払いサービスと給与ファクタリングの違いをまとめたので、参考にしてください。

給与前払いサービス 給与ファクタリング
貸し手 勤め先の会社(提携会社と組んで 貸金業のファクタリング業者(ヤミ金の場合もあり)
手数料 0円~数百円
または3%~6%
年率換算で10%~20%
(ヤミ金なら年率300%超も)
サービスの安全性 安全 貸金業に登録してる業者なら安全
借り手 給与前払いサービスを導入している会社に勤めている人 信用情報機関に取引履歴を残したくない人

どんな人が利用するの?

上の表にある通り、給与前払いサービスと給与ファクタリングを利用する層は、それぞれ異なります。給与前払いサービスを利用するには、勤め先が前払いサービスを導入していることが前提条件です。

冠婚葬祭などの急な出費が重なったので、前払いサービスを使ったという口コミが多いです。

一方、給与ファクタリングの利用者は、勤め先が前払いに対応しているかに関係なく、個人で業者から前借りを行います。給与明細書などの書類が用意できれば、審査もほとんどなくお金を受け取れます。

また給与ファクタリングは、通常の借入ではないので信用情報機関に取引履歴が残してないと思われます。信用情報機関に借入履歴を残したくない人や過去に金融事故を起こした人が、給与ファクタリングを利用する傾向が高いです。

<関連記事>:遅延損害金とは?分かりやすく解説!

給与前払いサービスでも与信審査は不要です



給与ファクタリング、どんなリスクがあるの?

給料ファクタリングの4つのリスク

給与ファクタリング業者の中には、貸金業登録をしていない違法業者も数多く存在します。安全なサービスとは、必ずしも言い切れません。

ここからは給与ファクタリングのリスクについて、詳しく見ていきます。

リスク1:手数料が高い

給与ファクタリングでは、手数料を取られます。以前の手数料の相場は、給与債権の10~20%でした。

たとえば1ヶ月後に受け取れる給料が20万円とすると、手数料15%で業者に買い取ってもらう場合、17万円を受け取る計算になります。これを借入に置き換えると、17万円の借入をして1ヶ月後の返済に20万円払うことになります。

年率換算にすると、金利182.5%で借入をしていることになります。利息制限法の上限金利は20%なので、これを大幅に超える金利です。

給与ファクタリングが貸金業であるとすると、給与債権の10~20%と言った手数料は(現在では)違法となります。実際に日本ファクタリング業界(ファクタリング業界の自主規制機関)ではファクタリング被害110番を設置し、注意喚起しています。

ですが給与債権の10~20%といった手数料を、いまだに請求する(違法な)業者が数多く存在します。こうした高額な手数料が、給与ファクタリングのリスクの一つと考えられます。

違法な給与ファクタリングを使う位なら、カードローンのキャッシングの方が、少ない負担でお金を得られます

リスク2:取引業者がヤミ金の場合も

貸金業登録をせずに給与ファクタリングを行う業者は、(当然)ヤミ金業者です。その他に「ブラックでも融資可能」「他店で断られた人もOK」といった、甘い宣伝文句で勧誘してくる業者もヤミ金の可能性が高いです。

他にもヤミ金業者の特徴として、以下のようなものが挙げられます。

ヤミ金業者の特徴
  • 契約書がない
  • 手数料が高い・追加される
  • 延滞金や遅延損害金を請求される
  • 厳しい取り立てをされる


こうした特徴に一つでも当てはまる場合は、すぐに弁護士や警察に相談してください。先ほども説明した通り、給与ファクタリング業者の中にはヤミ金業者が数多く潜んでいます。

取引相手が正規の貸金業者か、きちんと見極めることが大切です。

リスク3:受け取れる金額に上限がある

給与ファクタリングでは、これから入る将来の給料を事実上の担保とします。そのため給料以上の金額を、受け取ることは不可能です

また給与ファクタリングの対象となるのは基本給のみで、残業や休日出勤の手当て、ボーナスの現金化はできません。まとまった金額が必要な時に給与ファクタリングをするのは、将来得られる給料を減らすだけで、リスクが大きいと言えます。

<関連記事>:カードローンの上限の借入限度額は?

初回利用の場合は、少額しか受け取れないケースも多くあります

リスク4:他の返済が苦しくなる場合も

給与ファクタリングは、本来入ってくる給与を前借りするサービスです。前借りした給与を諸々の返済にあてる予定だった場合、支払いに狂いが生じる可能性があります

たとえばクレジットカードの引き落とし、公共料金の支払い、家賃の支払いなど、毎月定額の返済にお金が回せなくなる恐れがあります。すると次の給料も前借りをしたり、新たに借入をする必要が出てきてしまい、あっという間に借金を背負う危険性があります。



それでも給与を前借りしたい!利用する前に、知っておくべき注意点は?

給与ファクタリングは取引相手の見極めが大事

給与ファクタリングはヤミ金業者が多いので、利用する際は取引相手の見極めが特に大事です。貸金業に登録していない業者は違法なので、絶対に利用してはいけません。

個人情報を悪用されて、他の違法業者への貸付を誘導されるケースもあります。貸金業者かどうかの確認は、給与ファクタリング業者のHP上の運営者情報を確認して下さい。

運営者情報に「登録番号」の記載があれば、正規の貸金業者である可能性が高いです。とはいえ、たとえ貸金業登録を行っている業者であっても、油断はできません。

不当な手数料を一度払ってしまうと取り戻せる保証はないので、利用前には手数料を十分に確認しましょう。

新型コロナウイルスの影響でシフトが減るなどして、給与ファクタリングに手を出す人が増加しました

給与の前借りは、慎重に行う事

給与前払いサービスの利用は慎重に

給料を前借りすることは、本来入ってくるはずの給料日に、お金を受け取れないということです。これは給与ファクタリングと給与前払いサービスの、どちらにも言えることです。

言わば借金ですから、前借りした後で調子に乗ってお金を使っていたら、さらに金欠になる可能性があります。他にお金を確保できる方法はないか、もう一度考えて見ることをオススメします。

<関連記事>:お金がないストレス!その恐ろしさとは?解消するための方法

給料ファクタリングの手数料は必ず確認!

給与ファクタリングにリスクがあると分かっていても、利用せざるを得ない状況もあるかもしれません。勤務先が給与前払いサービスを提供していなかったり、事故情報が残っていてカードローンを利用できない場合などです。

もし給与ファクタリングを利用する場合は、手数料の確認を絶対に行って下さい。取引相手がヤミ金なら論外ですが、正規の業者を装っていながら、手数料はヤミ金並みということもあり得えます。

一回の取引につき、(出資法・利息制限法の上限である)年率20%以内の手数料で設定している業者を、必ず選ぶようにしてください

<関連記事>:カードローン金利の仕組みを解説!金利を下げるには?

取引相手がヤミ金業者だったケースでは、年率換算で600%もの手数料を支払っていた事例もありました

被害にあったら、警察・弁護士に相談

給与ファクタリングを利用していて、法外な手数料を請求されたり、過剰な取り立てを受けた場合は、弁護士や警察に相談しましょう。どこへ相談すれば良いか分からないときは、日本ファクタリング業協会に問い合わせをしましょう。

相談・苦情・紛争解決の受付窓口を開設しており、解決支援を行なっています。また法テラスでも、適切な相談窓口を無料で紹介してもらえます。

法テラスは全国に110か所設置されているので、近くの事務所を探してみてください。

<関連記事>:ヤミ金で困ったら、どこに相談すれば良い?


ここまで給与前払いサービスと給与ファクタリングの違いや、給与ファクタリングのリスクについて見てきました。給与前払いサービスは安全なサービスですし、給与ファクタリングも業者選びを間違えなければ安全なサービスでしょう。

ですが、やたらと利用すると日々の資金繰りが苦しくなり、毎回利用しないと生活が回らなくなる恐れがあります。給与の前借といっても実質的に借金と同じであり、身の丈に合わない利用をしたら後で苦しむ点は同じです。

こうした利用は、あくまで一時的に留めるべきです。また給料を前借りする前に、他の方法でお金を調達できないか、日々の生活で節約をできないか検討してみてください。


この記事のまとめ
  • 給与ファクタリングとは、次に入る給料を裏付けにファクタリング業者から給料日前に融資を受けるサービス
  • 給料前払いサービスとは、企業が提供する福利厚生の一環で、勤め先とサービス会社を通して給料の前借りをすること
  • 給与前払いサービスは手数料も比較的安く合法のサービスだが、給与ファクタリングは手数料が高い場合もあり、特に貸金業登録をしていない業者は違法
  • 貸金業登録を行っている業者でも高額な手数料で他の返済に悪影響が出るリスクはある
  • 給与ファクタリングや給与前払いサービスの利用は慎重に検討し、被害に遭った場合は専門家に相談する



もぐお

この記事の執筆者: もぐお

元銀行員で、このサイトの責任者です。難しい金融の情報を分かりやすくお伝えできるよう、頑張ります!
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