年金を担保にお金を借りる!年金担保貸付制度とは?

年金で生活している人は、どこからお金を借りればよいのでしょうか?

安定収入がないため金融機関の審査になかなか通らず、悩んでいる人は多いです。


そんな時に頼れるのが、年金を担保にお金を借りられる、「年金担保貸付制度」です。

ここでは年金担保貸付制度の基本や、利用条件などについて見ていきます。


FP 張替 愛

この記事の監修者: FP 張替 愛

FP事務所マネセラ代表 ファイナンシャル・プランナー
大学で心理学を学んだ後、国内損害保険会社に就職。夫の海外赴任を機に独立。教育費・老後資金・女性の働き方・資産運用・海外赴任など、家庭ごとの状況や想いを大切にした家計相談を中心に、マネー講座や執筆活動を行う。2児の母でもある。
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年金担保貸付制度とは?キホンを解説します

年金を担保にお金を借りる公的制度

年金担保貸付制度とは

「年金担保貸付制度」とは、年金を担保にお金を借りることができる、年金受給者向けの公的な融資制度です。

「年金を担保に」とは、将来もらう年金を返済に充てる約束をするという意味です。


そのため「年金前借り制度」とも呼ばれています。

独立行政法人福祉医療機構(以下「医療機構」)と日本政策金融公庫(以下「金融公庫」)が、この制度を運営しています。

<外部の関連サイト>:年独立行政法人福祉医療機構 金担保貸付事業・労災年金担保貸付事業

経済的に苦しい高齢者の救済が目的

年金担保貸付制度は、経済的に苦しい高齢者が安全にお金を借りるための制度です。

上限年齢や年金以外の収入がないという理由から、消費者金融などの審査に通らない高齢者がたくさんいます。


無職の高齢者やカードローン審査に通らない高齢者を支援する目的で、年金担保貸付制度が運営されています。

たとえばアコムやアイフルは、上限年齢を69歳以下としています(2019年12月現在)

年金担保貸付制度を行っているのは医療機構、金融公庫の2機関

年金担保貸付制度を行っているのは?

年金を担保にしてお金を借りることは、基本的に違法です。

年金を担保にして融資を受けるには、必ず認められた公的機関を利用する必要があります。


現在、年金担保貸付制度を通じて融資を行うことが認められているのは、独立行政法人福祉機構と日本政策金融公庫の2つだけです。

これ以外の団体が「年金を担保に融資します」と言ってきた場合は、違法ですので十分に注意してください。

融資限度額や金利は?

医療機構と金融公庫では、借入限度額や金利(年率)などが異なります。

以下はそれらを示した表です。

融資限度額 年率
独立行政法人福祉医療機構 10万~200万円(1万円単位) ・年金担保融資:2.8%
・労災年金担保融資:2.1%
(平成30年10月3日受理分以降)
日本政策金融公庫 250万円 ・恩給、災害補償:0.51%
・共済年金:1.66%
(令和元年12月2日時点)

<参考サイト>:金利情報|独立行政法人福祉医療機構


上の表の通り、無職の高齢者も支援できるように、金利が低く設定されています。

低金利の理由は、年金を担保にすることで確実な返済が見込めるからでもあります



年金でお金を借りる、年金担保貸付の利用条件は?

現在年金をもらっている人だけが対象

現在年金をもらっている人が対象

年金担保貸付制度の対象となる方は、以下の年金証書を持っており、現在その年金を受給している人です。

    ・国民年金・厚生年金保険年金証書
    ・国民年金証書
    ・厚生年金保険年金証書
    ・船員保険年金証書
    ・労働者災害補償保険年金証書
    ・その他の年金証書(各種共済年金や恩給など)


つまり年金受給前の方は、本制度の対象外となります。

受け取っている年金によって申し込み先が違う

年金担保貸付制度の申し込み先は、受け取っている年金の種類で、以下のように違います。

・独立行政法人福祉医療機構
厚生年金、国民年金、船員保険年金、労災年金

・日本政策金融公庫
その他の年金(各種共済年金や恩給など)


なお金融公庫は、2019年1月4日で追加融資の取り扱いを終了しました。

金融公庫で現在行っているのは、既存の融資だけなので注意してください。

後で詳しく説明しますが、医療機構も将来的に廃止されることが決まっています

資金の使い道は限られている

資金の使い道は限定的

年金担保貸付では、借り入れしたお金を自由に使うことが出来ません。

認められている資金使途(お金の使い道)は、以下の通りです。


・独立行政法人福祉医療機構
保健・医療、介護・福祉、住宅改修や引っ越し費、教育、冠婚葬祭、事業維持、生活必需品(自動車や家電など)
債務の一括管理で利用することも可能(カードローンなどで借りたお金の借り換え目的)


・日本政策金融公庫
住宅などの資金や事業資金

どちらもギャンブルや遊びの他、生活資金や旅行に充てることも禁止されています。

年金担保貸付制度を利用できない人は?

年金担保貸付制度では、たとえば以下の人は貸付の対象外となります。

    ・生活保護を受給中である場合
    ・生活保護終了から5年がたっていない場合
    ・年金の支給が全額停止されている場合
    ・同一の年金で借り入れ残高がある場合
    ・現状届または定期報告書が未提出もしくは遅れている場合
    ・特別支給の老齢年金を受給していて、65歳の年金決定手続き期間中の場合


その他にも細かい規定があるため、医療機構などに事前に確認しておきましょう。

当然ですが、反社会的勢力に該当している人・関係を持っている人も対象者外です



年金担保貸付制度の申し込み・返済方法

年金担保貸付制度の必要書類

年金担保貸付制度の必要書類は、以下の6点です。

    ・年金証書
    ・年金支給額を証明できる書類(年金振込通知書、年金決定通知書など)
    ・取扱金融機関に置いてある借り入れ申込書
    ・印鑑証明書と実印
    ・本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)
    ・資金用途の確認資料(借りたお金を何に使うのかを確認できる書類)


連帯保証人を立てる場合は、これに加えて連帯保証人の収入を証する書類、実印と印鑑証明書、本人確認書類、住民票などの提出も求められます。

申し込みから借入まで1か月程度必要になるので、急ぎで借りたい人は早めに用意する必要があります

年金担保貸付制度の申し込み方法

医療機構で年金担保貸付制度を申し込む場合は、自分が年金を受け取っている銀行の窓口から申し込みをします。

審査には、4~5週間程度かかります。

医療機構で相談そのものは出来ますが、申し込み手続きには一切対応してないので注意してください。


一方で金融公庫の場合は、全国にある日本政策金融公庫の窓口を通じて申し込みができました。

しかし上でも述べた通り、現在新規の申し込みに対応していません。

年金担保貸付制度の返済方法

1回あたりの年金支給額の3分の1までの範囲内で、「最初に自分が設定した返済金額」が支給される年金から、定額返済の形式で天引きされます。

つまり年金から返済額を差し引いた残りが毎回、年金受け取り口座に振り込まるようになります。


なお金融公庫では、以前は融資を受けたお金を完済するまで年金が全額返済に充てられていましたが、現在は定額返済にへ変更となっています。


<外部の関連サイト>:恩給・共済年金担保融資|日本政策金融公庫

年金が振り込まれれば自動的に返済となるので、特に自分で手続きをする必要はありません



年金担保貸付制度を利用する時の注意点は?

年金担保貸付制度は2022年3月末で廃止

年金担保貸付制度は2022年に廃止

年金担保貸付制度の審査では、一時的にお金が必要な高齢者だけでなく、慢性的に生活費が不足している高齢者への貸し付けも認めていました。

そのため元々少ない年金収入から天引きされることによって困窮し、生活保護を受給する高齢者が多くいました。


この問題を受け、2010年の閣議決定において、将来的な年金担保貸付制度の廃止が決定しました。

そして2018年に厚生労働省によって、2022年3月末での年金担保貸付制度の廃止が発表されました。

<外部の関連サイト>:年金担保貸付事業に関する重要なお知らせ|厚生労働省


既に2019年1月に申込受付を終了した金融公庫に加えて、医療機構も2022年に終了することになります。

その代わり年金担保貸付制度以外にも、生活福祉資金貸付制度や生活保護制度など、高齢者でも利用できる制度が他にもあります。


今後お金が必要になった際は、それらの制度も検討してみてください。

<関連記事>:市役所でお金を借りる?生活福祉資金貸付制度とは?

年金担保貸付制度では連帯保証人が必要

年金担保貸付制度では、原則として連帯保証人が必要です。

連帯保証人は医療機構の審査基準を満たす必要があり、さらに融資申し込み時に一緒に窓口に来てくれることが条件です。



連帯保証人が利用できない場合は、「信用保証制度」を利用できます。

信用保証制度とは、借主が万が一返済できなくなった時、代わりに弁済(代位弁済)してくれる仕組みです。


医療機構の信用保証制度は「年金融資福祉サービス協会」が請け負っており、利用には保証料がかかります。


保証料は貸付金額・貸付利率・1年間の返済額・保証料率で算出されるので、基本的には借りる金額が高いほど保証料も高くなります。

<関連記事>:連帯保証人とは?保証人との違いを分かりやすく解説

連帯保証人を立てる場合、申込時に連帯保証人に関する書類も必要になります

完済前に亡くなったらどうなる?

完済前に亡くなった時は

借主が完済前に亡くなってしまった時の対応は、連帯保証人の有無で変わってきます。

・連帯保証人がいる場合
死後は連帯保証人が借主に代わって返済を継続する

・連帯保証人がいない場合=信用保証制度を利用した場合
借主が死亡した時点で借金の残高はゼロとなる。家族や親戚に返済義務が生じることはない


住宅ローンなどでよく見られる「団体信用生命保険(=団信)」という保険がありますが、信用保証制度もこの団信と同じような役割を持っています。

怪しい業者は利用しない

世の中には、お金に困っている高齢者をターゲットに、甘い言葉で融資を持ち掛けてくるヤミ金業者がいます。

上で述べたように、年金を担保に融資ができる機関は、今や医療機構だけです。


医療機構は、頼んでもいないのに融資を持ち掛けてくることは絶対にありません。

もし連絡をしてくる業者があれば、それはヤミ金や詐欺の可能性が高いので十分注意してください。

<関連記事>:ヤミ金とは?その悪質な手口を紹介します!

銀行や消費者金融の審査に通らないからといって、ヤミ金の甘い言葉に惑わされてはいけません



ここまで年金担保貸付制度の基本や、利用条件などを見てきました。

高齢者でもお金を借りられる年金担保貸付制度ですが、あくまでも借金であり、無計画な借り方はできません。

計画を立てたうえで借りて、きちんと返済しましょう。


この記事のまとめ
  • 年金担保貸付制度とは、年金を担保に低金利でお金を借りられる制度
  • 融資を行う組織は医療機構と金融公庫の2つだが、金融公庫は新規受け付けを停止してる
  • 生活保護の受給中、あるいは終了から5年が経過していない場合は利用できない
  • 年金担保貸付制度は2022年3月末で廃止
  • 制度を利用するには、連帯保証人を立てるか信用保証制度を使う必要がある


<監修者のコメント>
年金担保貸付制度が廃止される背景には、自立支援機構や生活福祉資金貸付制度などの、公的な支援制度が整ってきたこともあります。

例えば自立支援機構の相談窓口では、各種給付制度や公的貸付制度の紹介、債務整理に関する支援など、より具体的な家計改善策を提案してくれることがあります。

年金担保貸付制度の利用だけでは一時的な解決にしかならないときは、このような関連制度のことも調べて利用してみると良いでしょう。


もぐお

この記事の執筆者: もぐお

元銀行員で、このサイトの責任者です。難しい金融の情報を分かりやすくお伝えできるよう、頑張ります!
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